3分で読めるショートショート自作小説|ヤングケアラーだった僕の話。『おかん、男を見る目はあったんやな』第三十作品目

3分で読める自作ショートショートです。通勤時間などすき間にサクッと読めちゃう、日常系な超短編ストーリー。

今回の3分ショートショートは、「遊びに行ってばかりの母親に呆れていた男子中学生の主人公でした。しかし、母親の行動には理由があって……。」最後に”男の見る目はあったんやな”とつい溢しそうになる展開に必見のお話です。

『おかん、男を見る目はあったんやな』

日差しが照る真夏の歩道橋の前に僕は立っていた。大阪市内の夏はどんどん高くなってる気がする。

中三だが、後輩達はこの中で走っていると思うとゾッとする。

「暑い、暑すぎる」

僕はこれでもかというぐらいの大荷物を持っていた。

スーパーで買った食材をギュウギュウに詰め込んだからだった。

「こんなの拷問過ぎるだろ」

僕はそう叫びそうになったが、適量の声で言うまでに留めた。

重い荷物を一人で持って帰った。

家に着く頃には汗だくになってて、汗がボトボト落ちた。

「はーアツー、何考えてんだ。おかんはどこ?」

「ママはまた遊びに行ったよ」

下の弟がそう答えた。

「は?またかよ。また昼作らねーと」

「あ、そうだ、姉ちゃんは?」

「うーん。遊びに行ったぽい」

「は?あいつもかよ」

僕は仕方なく家にいる兄弟の分の昼飯を作ることにした。

兄弟は、アホな高二の姉と可愛い弟が三人いる。上の弟は中一で今部活に行っている。

下の弟は、双子で六歳になっていた。

「なんであのアホは長女のくせに遊びに行くんだ」

「さあ、分かんないよ」

下の弟二人はチャーハンを食べながら賛同してくれた。

「まあ、姉ちゃんにだって事情があるんじゃない?」

そう言って、弟二人は息ぴったりに同じタイミングで最後の一口を食べた。

「お兄ちゃん、おかわり」

同時に言われたが、もう全部食べてしまい、フライパンには何も残ってなかった。

僕が首を横に振ると二人は哀しそうな顔した。

それから、三時間後

僕が中学の宿題をしていたら、玄関のドアが開いた。

部屋のドアの方を見ると

「ただいまー、あー楽しかった」

おかんが濃い化粧をした状態で帰ってきた。

「今までどこ行ってたんだよ」

僕がおかんにつっかかると

「イケオジに会ってきたのよ。あんた達のお父様になるかもしれないのよ」

おかんは高笑いしながら、バックを片付け出した。

「なに絵空事言ってんだ。さっさと家の事しろよ」

「何が絵空事よ。こっちは真剣なんだから」

「は、そんな絵に描いた話してんじゃねーよ。暑い中大荷物抱えて帰ったら、昼ご飯もなしでどんだけこっちが気力無くしたか考えろよ」

僕はおかんに日頃の鬱憤をぶちまけた。

「あんた何言ってんのよ。お母さん毎日仕事してるのよ。労いなさい」

「男に媚び売ってへらへらしてるだけだろう。それのどこが仕事だよ」

「お母さんは皆の為に玉の輿を狙って生きてるの!」

「玉の輿?何時代の話してんだ。こちとら令和で生きたんだよ」

僕もおかんも顔を真っ赤にさせて言い合っていた。

この先の行く末

僕もおかんも息を切らすまで言い合いをした。

もう夕方になっていた。こんなに長引くとは思ってなかった。

「分かったわ。お母さんなんか必要ないってことでしょ、出て行きます」

おかんは玄関のドアを開け、泣きながら出て行った。

「そんなこと言ってないじゃん。なんなんだあの親は」

おかんが出て行ってからすぐに上の弟が帰ってきた。

「おかん、出て行ったのか?泣きながら歩いてどこか行ったみたいだけど」

「すまん、僕のせいだ。帰ってこなかったらどうしよう」

「俺、探しに行ってくる。兄さんが二人をお願い」

そう言って上の弟が走って探しに行ってくれた。

僕はこれからの未来を憂いた。

あんな親だけど、この家で姉弟一緒に暮らせるのはおかんがいるからだったのに……。

僕は悲しくなって涙が零れてきた。

「兄ちゃん、大丈夫?」

弟達が同タイミングで心配してくれた。

「ありがとう~、こんな兄ちゃんでごめんな」

僕はその後もすすり泣きながらも夕飯を一生懸命作った。

「おかん、全然帰って来ないな。もう戻ってこないのかな」

ガチャ

「ただいまー、皆は?」

声の方を見ると、姉が帰ってきたみたいだった。

「姉ちゃん、どうしよう。皆バラバラになるかも」

「は?何言ってんの? どういうこと?」

「おかんが出て行ったー」

姉は眉間に皺を寄せた。

「あんた、何言ったん?」

「男に媚び売ってるだけやろって言ってもうた」

「そんなん言ったん? あんた知らんの?お母さん再婚しようとしててんで」

「え? 遊びじゃないの?」

姉は困った顔をさせて、一枚の写真を取り出した。

「この人誰だかわかっとる?」

「誰この男?」

「もー、私らの実のお父さんや」

初めて見る父の顔

「は?」

僕がぽかんとしたら

「ほんまアホやな。知らんとってお母さん傷付けて何してんねん」

写真の男は確かに老けていて、姉の言うことも正しいと思えた。

「でもおかん、イケオジとか言ってたでそんなん遊びや思うやろ」

「いい!お父さんは別れた後、したいことしようと意気込んだけど、おじいちゃんのお兄さんの息子さん、つまり私達のいとこ違いにあたるおじさんが倒れたから仕事を継いだの」

「え、そうなん?でもなんで直ぐに迎えに来んの?」

「そんなん、会社の立て直しが大変やったに決まってるやろ」

「え?」

姉は段々眉間に皺を寄せていった。

恐ろしい顔で

「会社の維持を頑張り過ぎて、おじさん倒れたんやで。何も知らんねんな」

「お父さんがどんだけ大変な思いやったか私は知ってんで」

僕が頭を真っ白な状態でいると思ったのか、姉は続けた。

「どうせ私のことも遊び呆けた姉ぐらいしか考えてないやろ?」

姉は大きな声で

「高一から手伝いにいっとたんや」

衝撃のことに面を食らった。

「はよ、お母さん探しに行くで」

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その後、おかんを新大阪駅の構内で見つけることができ、しっかり謝った。

週末に僕は姉と父に初めて会うことが出来た。

父は笑顔が似合うイケオジだった。

お終い

※この物語はフィクションです。

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