3分で読めるショートショート自作小説|第二十八作品目『願いは納税』

3分で読める自作ショートショートです。通勤時間などすき間にサクッと読めちゃう、日常系な超短編ストーリー。

今回のテーマは、「二十五歳まで入院をしていた女性が今まで”願っていた納税”という夢を叶える為に就活をしていく」お話です。女性は何故、納税したいのか?女性にはどんな人生の目標があったのか?人生を肯定できる一作です。

『願いは納税』

白くて硬めのベッドに腰を掛けて座っている。2025年の夏、暑すぎて蝉も鳴いてない日だった。

「蒼井優子さん、もうすぐ退院の手続きに来てください」

「はい、分かりました」

小さな窓から見える景色も見納め。

「ありがとう。窓さん」

これで私は自由になれる。好きな時に外へ出て綺麗な花々、爽快な空を思いっ切り楽しめる。

「なんて、素敵な暮らしを送れるの」

私は誰も居ない病室に頭を下げて、退院した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

三か月後、私は就職しようと動いていた。

ただ、二十五歳になって初めての就職活動なこともあり、どうやって探したらいいか全く分からなかった。

(どうやって就活ってするの~)

職業案内所に着いたら、窓口の多さに困惑していた。

辺りの人の多さにも戸惑っていたら

「初めてご利用の方ですか?」

中年の男性が声を掛けてきた。

「あ、はい」

「なら、総合案内所にご案内しますね」

「ありがとうございます。助かります」

男性の後について行くと

「こちらになります。受付をしている女性に声を掛けたら、対応してくださいます」

そういうと、男性はこの場から離れた。

「ありがとうございました」

男性の背を見ながら、お礼を言った。

「初めての就職活動になりますが、どうやって進めたらいいですか?」

受付の方に伝えたら

「では、若者向けで募集している求人をご覧いただけるブースをご案内致します」

受付の方に言われたブースに行くと、番号札を取ってから早めに順番が来た。

「蒼井さんは働いたことがないということですね?」

「はい、ずっと入院をしていたので、職務経験はないです」

「やはり短時間からの希望ですか?」

担当者の言葉に一瞬戸惑った。

「そ、そうです。沢山稼ぎたい気持ちはありますが、無理をして会社に迷惑を掛けてはいけませんし」

稼ぎたい気持ちがあるというのは、表面的な言い分でもっと奥には他の理由があった。

「稼ぎたいってストレートに言いますね。素直でいいですよ」

担当者はクスっと笑っていた。

「あ、はい。何か資格を取らないと就職は難しいですか?」

「そうですね、パソコンのスキルはあった方が良いとは思います。ただ、それがあれば希望の就職先に就けるとは保証できませんが…。蒼井さんは体力仕事は難しそうなのであった方が無難ですね」

「分かりました。ありがとうございます。資格取ってからまた来ます」

「はい、かしこまりました。念のために求人票の検索をネットで出来るように登録はしときましょうか?」

「はい、分かりました」

こうして、職業案内所を後にした。

続き:まずはスキルの取得から

本屋に早速立ち寄り、親から貰っているお小遣いからパソコンの使い方の参考書から、資格取得に繋がる本を買い、家にあったノートパソコンを開いた。

「電源ボタンはここだよね?」

パソコンの使い方のテキストを読みながら先ずは文章を書いてみることにした。

「パソコンって色んな機能があるのね」

夢中になって練習することで段々楽しく覚えられそうだった。

すると、母が声を掛けてきた。

「いいわね。パソコンの勉強しているの?お母さん余り触ったことがないから羨ましいわ」

「お母さんも触ったらいいのに。楽しいよ」

「入院中は読書しかしてなかったから新鮮だよ」

「そうよね、していいことが制限されていて、窮屈だったわね」

次の日もパソコンの勉強をして、毎日欠かさず勉強をして三か月経った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今日は検定試験日、今までの勉強の成果が出るかドキドキします。

「今から試験を開始します。始め」

五十分間の試験が始まって、結果が出るのが二週間後なので直ぐに合否が分かるのがこの試験を受けたきっかけでした。

(この問題か、何回もやったことがあるから解けそう。良かった)

試験も終わり、試験会場の一階で就活の宣伝ポスターを見ていた。

すると、気になるポスター掲示があった。

【アンダー30の女性限定自分らしい働き方セミナー&就活祭】

ビビッと来た私はその場でスマホで申し込みをした。

日程は、一か月後だったので、春が過ぎてからの開催だった。

続き:セミナーでの発見

家族と楽しいお花見も過ごして、次の土曜日はセミナーの日だった。

(無事検定も取れたし、準備はしっかりとやってきたし、何とかなるはず)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セミナー当日

「本日は女性の体と心に寄り添った働き方というテーマでお話を聞きたいと思います」

「講師の三ヶ木美緒さん宜しくお願い致します」

司会の方に紹介された、講師の先生は薄灰色のスーツを着て、髪はショートヘアの方だった。

その出来る女性の姿とは対照的に、表情はほんわかしていて親しみやすかった。

「紹介に預かりました、三ヶ木です。本日はどうやったらウキウキと仕事が出来るかの指標を皆さんに発見していただく為に講義をしたいと思います」

「まず初めに一人一人、人生の目標やなりたい自分が違うので他者とは比べて仕事を決めなくて良いと思います」

「今回はそれを主軸として、話をすることを頭に入れといてくださいね」

それから六十分間のセミナーが始まりました。

「こんなことをして暮らしたいって思ってそれを基準に仕事探すって馬鹿馬鹿しいって思って諦めていることはありませんか?」

「でも、馬鹿にしていた暮らしが人生で一番したい暮らしだったなんてザラにあります。成功しないとか、お金を稼いで老後に備えないとって思いすぎてたら人生の満足度は上がりません」

講師の先生は一般的に凝り高まった考えとは違う見方をみんなに伝えようとしていた。

私は国に医療費を免除して貰って、支えて貰っていたので少しでも恩を返すような動きをしたいと思って就職しようとしていた。

「一人一人の満足度が上がったら、人々が笑顔になり幸せな気分だと好循環になる動きが出来ます。この好循環の中ではお金の動きも出るでしょう。すると、益々経済が活発化していくことを想像できますし信じています」

何だか講師の先生の話には説得力があった。

「次のシートに沿って質問に答えていくとしたいことが分かるようになっています」

私はシートに沿って、答えていきました。

「出た答えを元にどうやったら実現するか考えてみましょう」

その後三十分間は話を聞きながら、暮らしの目標を出すことが出来た。おのずと、働き方や職種も出てきた。

「最後になりますが、今出た目標は人生の幾度の時に変えていくことも許容しましょう。正解はなく正しさもない人生、変わることは当たり前です。以上がお伝えしたいことでした」

講師の先生の話が終わると自然と拍手が鳴り響いた。

シートの結果を胸に面接会場に向かった。

「面接を希望致します。宜しくお願い致します」

「はい、承知致しました。今から面接致しましょう」

私は健康食品の会社のブースで面接を受けた。

フルタイムで嘱託職員として話を進めた。

その後、三か所ぐらいの食品会社の事務職を希望して面接をした。

一か月後

初めに受けた健康食品の会社の企画部所属として、内定を貰えた。

てっきり事務で受かると思っていたから、驚きだった。

でも、あのシートに書いた健康への意識を高く持つ食品に出会いたいという思いと、多くの人に寄付したい気持ちに合致していたからこの会社に受かったのも希望通りだった。

「いい商品を作って、稼いだお金を貢献していくぞ」

私生活が始まった。

お終い

※この物語はフィクションです。