3分で読める自作ショートショートです。通勤時間などすき間にサクッと読めちゃう、タイムトラベル系な超短編ストーリー。
今回のテーマは、「歴史好きの小学生が縄文人と自分との色々な差が知りたくなるお話です。“縄文人vs現代人”と比較したときにどの様な違いがあるのか?また縄文人の感性はどんなかを見れる」ほっこりするお話です。
『縄文人vs現代人』

秋の季節に小学二年生の佐々木博(ささきひろむ)は自分の部屋で歴史図鑑を読んでいた。
「縄文人を書いている部分って少ないな~」
博はもっと縄文人のことが知りたかった。
自分よりもどれだけの体力や知性があるかを知りたかった。
博は、暫く歴史図鑑を眺めていた。縄文人がいる世界に行けないかとじっくりと眺めていた。
ピカーン
光の放射線が本から出てきた。微小の黒い雲が出てきてすぐに博は引き込まれていった。
「わぁー」
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「あんた、大丈夫か?」
鈍い頭痛が激しくて、耳鳴りがしていた。
「え、痛い。ここは……」
博が目を開けると、辺りには濃い緑の木々が生い茂っていた。
「え、ここどこ!」
博は自分の部屋に居たはずだったが、目に見える景色は雄大な自然が広がっていた。
「あんた、どうしたんだ。変なものを着てるな」
そう言われて声の方を見上げると、動物の皮を加工して服の様に仕立てたものを着た濃く髭を生やした男性が目の前に立っていた。
「わぁ、びっくりしたー。あなたはまさか縄文人?」
「縄文人?なんだそれ」
何故か縄文人男性の言葉は現代語訳されていた。
それには博も内心驚いた。
縄文人の男性は困った顔で博の目を見た。
「あんた、もうすぐ雪崩が来るからここにいては危ない。おらに付いて来るがいい」
縄文人男性は真剣な面持ちで言ってくれたので、本当に雪崩が来るかもしれないと思えた。
「雪崩が来るんだね。教えてくれてありがとう」
森の奥深くを通って二時間ほど歩くと、集落が見えてきた。
森の中を歩いている最中、博は凄く歩きにくくスニーカーでも平衡感覚を失うほどだった。
狭い道では、ごつごつとした岩を掴みながらカニ歩きをした。
極寒のはずなのに、博は額に汗が滲み出ていた
「もうすぐだ。頑張ったな」
縄文人の男性は濃い彫りの顔だが、爽やかな笑顔をした。男性の優しい心にホッとする博だった。
続き:集落での生活
集落に着くと、数人の女性達が迎えてくれた。
すると女性の一人が
「こののっぺらで肌の色が薄いこの子はどういう子?」
訊ねてきた。中々の酷い言い方だったが仕方ない。本当に縄文人の方々からしたら彫りが浅く、平坦な顔だったから、ついでに肌の色も黄土色で比較すると薄い。
「森の奥を抜けたら、この子が座っていた。おらもどこから来たのかも名も知らないんだ」
縄文人の男性は困った表情で女性達に説明をしていた。
「そう言えば名前を言ってなかった。僕は佐々木博って言います。助けてくれてありがとうございます」
「ひろむ?そう言うのね?あたしはメラって言うわ、この人はヒボって言って、村で一番頼りになる男よ」
「確かにとても頼もしかった。ヒボさんありがとう」
「ヒボでいいよ。ここでは優劣とか上下はないからね」
「え、そうなの?村長さんとかは居ないの?」
「あー、そんなものはなくてシャーマンの話を聞くぐらいさ」
ヒボはそう言ってからハッと思い出したように目を大きくした。
「あ、雪崩が来るから食料の保存と住居の補強をしないといけない」
「ヒボ、雪崩が来るのね」
メラは大慌てで他の女性達に呼びかけた。
博は不思議に思っていた。天気予報もないのにどうして雪崩が来るって分かるのか。
「ねえ、どうして雪崩が来るのが分かったの?」
博はヒボに尋ねた。
「そんなの毎日森に入ったり自然の中で生活してたら分かるって。感じられるだろう」
ヒボは目を閉じて深呼吸した。
「ほらもうすぐ来る、早めにしたくしないと」
そう言ってからの作業は日が暮れるまで続いた。
女性達が長いもやどんぐりを始めとした森の中にある食べ物を取って来て、男性達は狩りをしたり、木の幹から漆を集めたり、木を切って村に持ち帰っていた。
それからは、入れる順番に気を配りながらフラスコの形みたいになった、貯蔵穴に食べ物を入れていった。木や草で蓋をしたら最後には大きな石で重石にした。
漆は日ごろ使う道具に補強としての役割で使っていた。
住居の補強をすることになったので博も最後の仕上げを手伝うことになった。
それまでは補強の仕方を見ていた。
「住居の補強って言っても、日ごろからのやり方と雪崩が来る時では対策が違う」
「盛土を住居の周りに置いて、山の斜面との間に距離を取らないと。それは強固に作らないと立派な土手にはならない」
ヒボは博に分かりやすく、説明をしてくれた。
「それをしてる間、博には屋根に土の盛り足しをして欲しい。土を上から叩き固めて、風に飛ばされない屋根にして欲しい、これは子供でもやり易いはずだ」
ヒボに任されて張り切って作業に取り掛かった博だった。
続き:縄文人の心の豊かさ
一時間ぐらい経ったのか、太陽が上の方に来ていた。お昼の十二時頃だろう。
「ヒボ終わったよ。屋根はばっちりさ」
「おー、ありがとう。博が手伝ってくれたから、いつもよりも早く作業が終わった」
手伝えたのは良かったが、博は息が上がっていた。
慣れない斜めになっている屋根の上に載って作業をしていたので、落ちないように頑張って踏ん張っていたからだった。
「もう足ががくがくいってるよ。ちょっと休憩したいな」
「あーそうだな、メラ達も休んでると思うから、ゆっくりしに行っといで」
「それにしても、この作業きつくないの?ヒボは平気そうだね」
「生まれてからこの生活をしているんだ。平気だよ」
ヒボは笑って言った。
「それに僕たちは森の中に自然の中に暮らしているんだ。だから自然の中に少し借りて暮らしをしている気持で工夫しながら生きている。借りて暮らしているから両方にとって良い具合で生活をしているんだ」
「そういうことなんだ。借りてるっていう感覚って優しい感覚だね」
「博はどう思って暮らしているんだ?」
博は少し考えてから、今までの生活を思い返した。
「僕は当たり前って思うことが多かったかも」
「だから、そんなに感謝して生きてなかった」
博は恥ずかしくなり咄嗟に俯いてしまった。
「ハハハ、そうか。それも良いな、それだけ豊かってことだ」
ヒボの否定して、自分の意見を推し進めない反応に、心の豊かさを感じた博だった。
「休憩してきな」
ヒボが優しい目で促してくれたので、博はメラ達の所に行った。
メラから貰った飲み物を飲むと、ホッとして寝てしまったみたいだった。
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目を覚ますと、さっきまでの景色とは違い、博の部屋の天井が見れた。
「あれ?メラ達は、ヒボは?ここ僕の部屋だ」
「あら、起きたの?随分ぐっすり寝てたね」
お母さんが部屋に入って来て、博は元の世界だと確信した。
「もう、夕飯出来ているから食べれるよ」
「もうそんな時間なの?ご飯作ってくれてありがとう」
お母さんは少し驚いた顔をした。
「お礼を言うってくれるなんて、珍しい」
「僕、夢を見ていたんだ。その話を聞いて欲しいな」
「そうなのね、いいわ」
博は縄文人の暮らしと考え方を家族に話した。
お終い
※この物語はフィクションです。
