ショートショート:自作小説第十六作目書きました。題名:美容室でハッピーチェンジ

美容室でハッピーチェンジ

有名な美容室に来ている。

ここは人気の美容師が居て、大人気の余り1年待ちであった。その美容師は、ウエブサイトで見る限り、いかつく見えた。しかし口コミによると話しやすく何でも相談に乗って貰えたという。その人気美容師を指名した。

私は小池まさ子という者で、50代後半のバツイチ女性である。今年の春1人息子が社会人になった。

息子が社会人になったことをきっかけにして、イメチェンをすることにした。

今までは白髪を隠すように染めていたが、これからはグレイヘアをやってみようと思っている。

「小池様、お待たせしました。こちらのお席をどうぞ」

指名した美容師のシンゴさんに呼ばれてスタイリングチェアに移動した。

「小池様、本日はいかがされますか?」

「白髪の部分を生かした髪型にしたいです」

シンゴさんは閃いた顔をして、雑誌を取りに行ったみたいだった。

「でしたら、黒色ではなく別の色に白髪を染め直し裾カラーにするのはいかがでしょう?」

そう言って、グレイヘア特集のページを開いて見せてくれた。

私は雑誌のモデルが部分的に青色になっている髪の毛を見て、派手だけど楽しそうだと思った。

「この方の髪色良いですね。気に入りました」

「良かったです。ではこの人みたいにしていきましょか?髪の長さは極力変えないようにということで進めていきますね」

「はい」

続き:ヘアチェンジの中、楽しくお喋り

「実は今日はこれまでの自分から変身して新しい自分になりたくてここにきてシンゴさんに切っていただこうと思ったです」

思い切って、シンゴさんに打ち明けてみた。

すると、シンゴさんは笑顔になった。

「新しい一歩を踏み出すために当店とわたくしを選んでいただけたんですね。ありがとうございます」

「新しい自分になって、初めにどんなことをしたいですか?」

私は一瞬で思いついたことを口に出した。

「息子と食事に行きたいですね。一人息子で手塩にかけて育てたので立派になったあの子と贅沢な食事がしてみたいですね」

私は息子の写真を見せて話をした。

「へー、凄くいいことですね。是非、楽しんでください。因みに息子さんは今年新社会人ですか?」

「え、は、はい」

動揺した理由としては、推理されたように新社会人と言われたからだった。

「あの、息子さんによく似た美容師が今年の春入っていたので」

「え、そうなんですか!でも息子は美容師になったはずではないですが」

「え、そうなんですか?失礼いたしました」

私は疑問を感じた。

続き:息子ってまさか?

髪に青色の部分が加わり、ガラッと印象が変わりはっちゃけた自分になれた。

会計を済ませて帰ろうとしたら

「お母さん?」

突然、呼び止められた私はくるっと振り向いた。

すると、そこには息子とそっくりな男性がいた。

「え、あなたって……。」

「兄さん元気?僕だよ、るいだよ」

頭が一瞬で真っ白になった。

「る、るい?」

るいは、元旦那に引き取られたもう1人の息子だった。長男とは一卵性双生児だった。

ずっと、息子は1人と思いながら生きてきたが、本当は息子は2人だった。

「お父さんは、元気?るいも元気?」

「お父さんは入院中だけどね。僕は元気だよ」

「え、そうなの?るいは元気で良かった」

頬に一滴の涙が流れた。

「良かった。るいに会えて、もう会えないと思っていたから」

「僕もあえて良かった。今度、一緒に食事でもしようよ」

私は嬉しすぎて頷くことしかできなかった。

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数日後、フランス料理のお店で2人の息子と食事に行くことが出来た。

あの美容室でイメチェンが出来て本当に良かった。

こうして、2人の息子とお喋りする日が来るなんてことは思ってもいない出来事になった。

お終い

※この物語はフィクションです。