3分で読めるショートショート自作小説|第二十作品目『女神様』

3分で読める自作ショートショートです。通勤時間などすき間にサクッと読めちゃう、日常系の超短編ストーリー。

今回のテーマは、「”女神さま”のように綺麗な顔になりたい女子中学生が変わるのを見守れる」お話です。自分の容姿に自信を持ちたい人におすすめな一作です。

女神様

女子中学生のリコは、自分の行動に自信がない。

容姿は自信がなく、額の真ん中に出来たニキビがいつも気になってしょうがない。

鼻も団子鼻だし、目は一重の細い目だから気になる。

狐顔とも狸顔とも言えない自分の容姿はコンプレックスだらけだった。

「童話の金の斧と銀の斧に出てくる、湖に落ちたらこの顔も女神の様にきれいになるかな」

ふと、リコが呟くと友達のミサキが吹き出した。

「そんなに顔が気に入らないの?美人ではないけど愛嬌のある顔だよ」

「愛嬌~!!それもないでしょ?もっと小さい顔じゃないと」

「それよりさ、早くメニュー決めてくれない?もう10分も経ってるよ」

「えー、決めれないよ。アップルパイを食べたら太りそうだけど、捨てがたくって」

「もー、そんなの思ったように直観で決めなよ」

「うーん、ミサキが注文早すぎなだけだよ」

リコとミサキは、映画の帰りにケーキ屋でお喋りをしてた。

ミサキは、メニュー表を片付けだした。

「代わりに注文してあげる」

「あ、待って」

「すみません、アップルパイとチーズケーキとホット紅茶2つお願いします」

店員にミサキはさっさと注文した。

「あー、頼んじゃった」

リコは悲壮な顔した。

「そんな顔しないの、せっかく食べるんだから楽しくしないと」

「はい。わかりました、ミサキ様」

また太ってしまうのではと、気が気でなかった。

続き:リコは女神さまに会う

その日の夜、リコは自分の部屋で動画サイトを観ていた。

「あーあ、この子みたいに綺麗になりたいなー」

動画に映る女性は、美人のインフルエンサーだった。

「私もお金を稼いだら、メイクも頑張って変わりたいな」

「いっそうのこと、整形してもいいし」

そんなことを言いながら、動画をスクロールした。

「この子も可愛いな。観てみよう」

新しい動画を見つけると、スマホをタップした。

『皆さん、こんにちは。ネネのメイク講座にようこそ』

「どんなメイクを紹介してくれるんだろう」

『今日はメイクを紹介する前にお話ししたいことがあります。良かったらスキップしないで聞いてね』

(話って何だろう?)

『私、学生時代は容姿に自信がなかったんだ。もう別人になりたいぐらい自分の顔が嫌で、早くお金稼いで変わりたかった』

『大学生の時にメイクアップの講座に参加したんだ。その時の担当のメイク師さんによく言われてた言葉があって、それを伝えたくて話をしたの』

ネネは、一呼吸を置いた。

【メイクで別人になってもいい。けれども、本当の自分らしさを引き出すメイクを今してると思って欲しい】

リコは、ネネがその瞬間光の中の女神様に見えた。

「うわっ!」

続き:本来の自分を引き出すメイク

リコには、湖の中から出てきた女神様に嘘がつけなかった木こりのように、本来の自分を認識させられた。

(団子鼻でも細い目で例え一重瞼でもそれを引き出したい)

次の日に早速メイク道具やメイク商品を買い、メイクの練習を始めた。

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一か月後

「リコ、最近変わったよね。明るくなったし、陽気になったよね」

「ありがとう。自分に自信が付いたんだ」

「てか、メイク上手いね。リコらしさが出ていて可愛くなったよ」

リコは、ミサキとの遊びや楽しい出来事を素直に喜べる様になった。

楽しいことを素直に受け取るっていいことだと、リコは心から思えた。

お終い

※この物語はフィクションです。