3分で読めるショートショート自作小説|第二十二作品目『悪人の横顔』

3分で読める自作ショートショートです。通勤時間などすき間にサクッと読めちゃう、スリラー系の超短編ストーリー。

今回のテーマは、「自分の容姿を活かして女性達を欺いている容姿端麗のミックスの主人公の話です。その主人公の男は、まさに美しき”悪人の横顔”を持っていました。」読めばどんどんドキドキハラハラする一作です。

悪人の横顔

男の横顔は容姿が整っていて、誰が見てもハンサムなイケている男だった。

そんな男の名は、池脇チャールズだった。彼は、イギリス人の父と日本人の母の間に生まれたミックスだった。一昔前の言い方だとハーフになる。

そんな彼は青い瞳と高い鼻がチャーミングポイントだった。

ただ、茶髪の髪色が少し気に入らなかった彼は黒色に染めていた。

まるで異世界漫画の主人公の様な出で立ちの彼だった。

今、チャールズは東京のオシャレなカフェに一人で来ていた。

チャールズは、パソコンをポチポチ触っていた。

というもの、一人の女性を待っていた。

その女性のプロフィールを丹念に見ていたのだ。

ガラ

扉が開く音がした、チャールズはフリルの付いた淡いピンク色の服を着た女性の方を見た。

「あ、こちらです」

チャールズは会釈をした。

女性はチャールズを見ると満面の笑みを浮かべた。

「チャールズさんですか?初めまして小池祐子ゆうこです。会えて嬉しいです」

「初めまして、チャールズです。綺麗ですね、貴女に会えて嬉しいです」

チャールズは、ニコリと微笑み手を伸ばした。

緊張した様子の彼女は、躊躇しながらも握手した。

挨拶が終わると、2人は席に着いた。

「祐子さん、注文は何にしますか?」

「お紅茶にします」

彼女はまだ緊張している様子だった。イケメンに対しての免疫がないのだろう。

「緊張しないでください。リラックスして今日を楽しみましょう」

チャールズは、青い瞳で彼女を見つめた。

「そ、そうですね。ありがとうございます」

彼女はリラックスする為に無理やり微笑んだ。

「じゃあ、注文しますね」

チャールズは、店員に紅茶とコーヒーを一つずつ注文した。

しばらく沈黙が続いた。しかし、彼女が話しかけた。

「私と会う前はどんな方とマッチングしましたか?」

「え、そうだね。祐子さんが初めてと言いたいけど2人だよ」

チャールズは、隠すのも良くないと思い伝えた。

「おふたりの女性とはどうして別れたのですか?」

彼女は、真剣な目をした。

(そんなに気になることか?)

チャールズは思った。

「フィーリングが合わなかっただけさ。深く気にすることはない」

「そうですか」

「そうだよ。紅茶冷めちゃうよ」

そのあと2人はデートを楽しんだ。

デートの終わり、チャールズは彼女のほっぺにキスをした。

「今日はありがとう。またデートしよう。じゃあね」

彼女は一瞬驚いた顔をしたが、お辞儀をしてきた。

続き:新手のロマンス詐欺を追跡中

チャールズと別れてから、小池は警察署に戻った。

「小池祐子、ただいま戻りました」

「どうだった、あの男はどんな手口だ」

警部は、小池巡査長に尋ねた。

「警部報告します。あの男は女性の心をときめかせて、親密になったあと金銭を要求して逃亡する手口だと思われます」

「あの男のどこがそんな風に被害女性をさせる?どうだった?」

「人の心に入るのが上手いと思われます。そのうえ一瞬で相手の自己肯定感の低さの程度を見極め、格下の相手だと思うと、異常に優しく紳士になります」

「そうか、厄介だな。どうしてあの男に何千万ものお金を注ぐ女性がいるか、理解に苦しむ」

「それから、あの男は虚言壁があり、マッチングアプリで知り合った女性は2人だと爽やかに言ってました」

「2人か!とんだ大ウソつきだな警察に届いてるだけでも年に50人となっているのに」

「凄いことです。国家予算になるぐらい年間集めています」

「小池巡査長、感心している場合ではない。早く尻尾を捕まえないと」

「はい、承知致しました」

その後、1か月間小池は一般人の振りをしてチャールズとデートをした。

「チャールズさん、今日はどこに行きたいですか?」

小池は可愛げのある声で尋ねた。

「そうだな~、祐子さんはどこに行きたいとかもうないの?」

チャールズは、親切そうに気にかけてきたみたいだった。

「そういうわけではないです。ただ、いつも合わせて頂いているので偶にはチャールズさんの行きたいところに行ってみたいです」

「僕の行きたいところかー、うーんそうだなー。僕には夢があってね」

チャールズは空を見上げだした。

小池は心の中で

(今日で本性を出すかも知れない)

しかし、小池は黙って聞くことにした。その間にコートのポケットの中でボイスレコーダーの電源をオンにした。

「日本でカフェを開きたいんだ。ただそろそろ、イギリスに戻らなくてはいけないんだ。父方の祖父が病に倒れてね。ただ、治療費を工面できなくてね、10,000,000円必要なんだ。あと、半分足りなくてね」

「半分は、大金ですね」

小池はポツリと言った。

「そうなんだ。後1ヶ月で用意しないと、折角貯めた5,000,000円もこれで底を付く」

小池はそれを聞いてゆっくりと口を開き

「私が少し出しましょうか?」

落ち着いたトーンで申し出した。

「いいんですか?嬉しいです。この口座に一週間以内に振り込んでもらいたいです」

チャールズの顔は一気に明るくなった。これまでの落ち着いた渋い顔は何処へいったのか?

「1週間ですね。承知致しました」

小池は落ち着いた声で又も答えた。

続き:いよいよ収着の時

マッチングアプリで知り合った小池祐子はまんまと引っ掛かりそうだ。

チャールズは、家の寝室でほくそ笑んでいた。

ただ、5,000,000円を振り込む前に会って欲しいと言われたことが気がかりだった。

しかしもうすぐ、5,000,000円というお金が入ることが楽しみすぎて余り深く考えようとは思えなかった。

チャールズは、有頂天で待ち合わせのカフェまで行った。

少し早く着いたので、窓際の席で待つことにした。

ふと、自分の横顔を見た。容姿端麗で自分でも見惚れてしまいそうだった。

(なんて美しい横顔なんだ。犯罪してるようには見えないな~罪な男だ)

ガラ

「失礼する、警察だ!池脇チャールズはいるか?いるなら出てこい」

警察の男がいきなりチャールズの名を呼んだ。

「は、なんで警察?」

チャールズは声を出してしまった。

「もしかしてお前か?」

警察の男に尋ねられたので

「い、いえ、失礼します」

チャールズは喫茶店から出ようとした。

すると

「チャールズさん、観念してください」

小池祐子が警察官の服装をして呼びかけてきた。

「だ、騙したな」

チャールズは走って逃げようとしたが、前方にも警察官が居て

「確保ー!」

あっけなく捕まってしまった。

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その数日後

新聞には、美しき横顔の悪人として一面に載ってしまった。

お終い

※この物語はフィクションです。