3分で読めるショートショート自作小説|第十八作品目『補助輪』

3分で読める自作ショートショートです。通勤時間などすき間にサクッと読めちゃう、不思議系の超短編ストーリー。今回のテーマは、「底の人生から、ある”補助輪”のような助けを得て幸せへと踏み出す主人公」の物語です。その補助輪とは一体何なのかーー。読み終えたら少しだけ前向きなれる一作です。

補助輪

私は都内の会社で働いている28歳の会社員です。

名前は山田梨々花やまだりりかです。女として生まれたら、いろいろな人生の変化があるはずです。

だけど、私には無さそうです。

何故ないって思うかと聞かれたら、今が人生の底だと思うからです。

今日は会社に出勤する前に病院に行ってました。

今はお昼休み時間なので愚痴りますが、許してください。

「なんと病気が見つかりました。今は絶望を感じています」

私はスマホの録音アプリに勇気をもって吹き込こみます。

「今日余命宣告を受けたんです。体の異変に気が付かず放置していたら危なかったと言われました」

私は手を震わせながらスマホを握っていました。

私は薄っすら涙出ているのに気づいていましたが、このまま話し続けないと胸が押しつぶされそうでした。

早く話して気を楽にさせたかったです。

「人生に起こるであろう全部のイベントがガラッと総崩れになった気分です」

この録音って誰が聞くんだろう。病室で1人で最期の時にきくのだろうか?

私は想像しながら悲壮感漂わせていました。

その時!

「お主、何をめそめそとしておるのじゃ?」

空から雲が下に降りてきた。

哀しくて弱っているから、遂に幻が見えるようになったなと思いました。

(もうどうにでもなれ)

「そりゃあ、悲しくもなるわよ。こっちは余命宣告受けたんだから」

ちょっと声を荒く大きめの声が出ました。

続き:小さいおじ天使が言うには

「なんじゃ、威勢がいいの~めそめそしているのは時間がもったいないの~」

「は!何を言っているんですか?落ち込むのは当たり前でしょ?せっかくこれからって時なのに~!」

声の方を向いて手を強く握り、歯を食いしばりました。

「ほー、これからのことが大事って分かっているのじゃな」

そういう声が聞こえたら、急に小さいおじさんが出てきた。頭には天の輪っからしきものを付けていた。

私が目を見張っていると

「ハハハ。このフォルムに驚いておるわ。天使冥利に尽きるの~」

にこやかに笑っている姿は父と重なりました。

「あはは、って何の様ですか?もう迎えに来たとか?」

私が神妙に尋ねると

「あほか!お主ほんとに最期の事ばかり考えておるな」

「厄介な娘じゃの~。困ったものだわ」

天使と名乗る、小さいおじさんは鼻をほじくりながら言ってました。

「汚いなー。私に何の用ですか?」

少し腹を立たせながら小さいおじさんに言いました。

「そうじゃあ、最期の事ばかり考えておるから一層のこと逆算して考えたらどうじゃ?」

小さいおじさんは、ニタニタしながら又鼻をほじっていました。

「逆算?今は悲しみに浸りたいの」

「悲しみに浸っている時間はない、3ヵ月後に成し遂げたいことを思い描くのじゃ」

真剣に私を見ていました。

「分かったわ。ちょっと今から考えるわ」

続き:3分後から世界が変わる

3分後

「思いついたわ。人に感謝されて過ごしてちょっとでも尊敬されたい」

私は宣言をしました。

「そうしたら、お主にこの世界を見せてあげよう。行ってらしゃい」

私は小さいおじさん天使に自転車を乗せられて異空間に飛び込みました。

その瞬間から、修道院でボランティア活動をしていた。

「梨々花さん、今日もありがとうね。子供たちがこんなに生き生きしているなんて嬉しいことよ」

修道院では、病弱な児童の預かりをしていて、子供が子供らしさを出せる場を提供していた。

「梨々花ちゃん、今日もおままごとしよう」

「いいよ。今日はどんなおままごとする?」

私はすっかり余命宣告のことを忘れていました。

私はふと、小さいおじさんのことを思い出しました。

(あのおじさんは幸せになるようにそっと補助輪を出してサポートしてくれたのね)

お終い

※この物語はフィクションです。