3分で読める自作ショートショートです。通勤時間などすき間にサクッと読めちゃう、不思議系超短編ストーリー。
今回のテーマは、「空想好きの女子小学生がなんと、異空間へと繋がり、”美しい国”に行き、その地の住人であるお姉さんとの楽しい時を過ごす」という話です。女子小学生がこの日を思って過ごしたら一体何を感じるのか?ちょっぴり泣ける懐かしい気持ちになれる一作です。
思い出の美しい国

私の名前は大月レレナだ。市立の小学校に通う小学4年生女子だ。
自分のショートヘアを手で撫でるのが好きで空想するのが大好きだ。
今日は、近所の公園で異空間と繋がり、美しい国に飛ぼうと思っている。
そこには、お姫様もいるらしいが私の大好きで慕っているお姉さんが居てる。
いわゆるその国の住人だ。お姉さんは、身長が高めで168㎝だ。小麦色の肌をしていて健康的だった。髪色は茶色でロングヘアのストレートだった。瞳の色は水色だった。
瞳の色が印象的だった。
そのお姉さんは、その国の市場で果物屋をしている。自分でも一部果物を作っていてスモモが良くできるらしい。
(あ、そろそろ出発する時間だ)
出発の呪文を心の中で唱えた。目を自然に閉じてしまう。
(スモモは黄色くなく赤くなくその中間、ナムジャラナムジャラ)
目を開けると
草原が広がり色とりどりの花、ひときわ目立つ桃色のシャクヤクが沢山目に留まった。
隣には千年はゆうに超えてそうな大きな樹木がどんと立っていた。
私はこんな幻想的な景色を現実世界では見たことがない。
「何回来ても、美しいな」
続き:お姉さんに会って
暫く草原の中を歩くとポツンと一軒家があった。
その家のことをよく知っている。
お姉さんの家だった。お姉さんの家は小さなレンガの家で、まるで人形の家みたいだった。
私はドアをノックした。すると、今日も綺麗な水色の瞳で私を出迎えてくれたお姉さんだった。
「あら、レレナちゃんもう来てくれたの?1週間も経ってないのに嬉しいわ」
「お姉さんに早く会いたくて昨日の今日で来ちゃった」
お姉さんは口元に手を当てながら少し笑った。
「ふふふ、そうなのね。お茶飲む?ゆっくりして行って」
「ありがとう。お邪魔します」
部屋の椅子に座るとお茶を出してくれた。一緒にお茶をしながら話した。
「レレナちゃんの世界は何が流行っているの?」
「そうだねー、また昭和の曲とか平成の初めに流行ったものがまた注目されているよ」
「お姉さんの世界では何が流行っているの?」
私は自分の話よりもお姉さんの世界の話に興味津々だった。
「そうね、神様に捧げる儀式が今年にまた再開するらしいわ。だから装飾づくりが流行り出したわ」
「へー、どんな儀式なの?」
率直に疑問に思ったので、躊躇することなく聞いた。
「うーん。花飾りを皆は作って、それを捧げる儀式よ」
お姉さんは若干顔を苦くしていたように思えた。
「お祭りみたいだね」
「そ、そうね」
私がテンション高めにいうと、又苦みのある顔をした。
「私も見に行きたいなー」
ポツリと言うとお姉さんは真剣な顔して
「だ、駄目よ。来ない方がいいわ」
お姉さんの声が強張っていたので恐怖を感じた。
「どうして?何か隠してるの?」
「あ、ごめんなさい」
「でも、来ない方が良いと思うわ。かなり危険な儀式だと思う。そんな楽しい物じゃないわ」
お姉さんはポツリポツリと下を向いて言った。
「そんな儀式するのね」
「そう、此処の国を美しい国に保つためよ」
お姉さんは哀し気な表情をしながら言った。
続き:神に捧げる儀式
私は、不安を掲げながらもその日は元の世界に帰った。
元の世界は、平凡な公園だった。でも、私の心は騒めいていた。
次の日の放課後、公園に行って心の中で呪文を唱えた。
(スモモは黄色くなく赤くなくその中間、ナムジャラナムジャラ)
目を開けるといつものあの美しい国の景色が目の前に広がっていた。
ただ、遠くの方で1本の煙が経っていた。
嫌な予感がした。
その方向に走って行ってみると
10分後異様な光景が目に映った。
お姉さんが焚火のところに吊るされそうだった。
今にも火あぶりにされそうな雰囲気だった。
私は大きな声を上げた。
「お姉さん、危ない」
すると、全員が私を見た。鋭い目つきでこちらを見てくる。まるで邪魔者みたいに……。
「レレナちゃん、逃げて」
お姉さんの大きな声は辺りに響いた。
「え、お姉さん」
私は逃げようとしたが、怖い顔した皆に捕まってしまった。
私もお姉さんの傍に連れられて、火あぶりにされそうになってる。
この中で一番権力のある長が一言
「こいつが元凶の娘か」
長の言葉で皆に持ち運ばれた。
私は火に投げ入れそうになった。
するとお姉さんが泣きながら長に向かって
「私の力を開放するから許して」
その言葉を聞いた長がみんなの動きを制した。
お姉さんは水色の瞳を大きく開けると目から光を出してこの国を丸ごと光で包み込んだ。
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目を開けると、目の前には美しい国は消えていて、私は元の世界に戻っていた。
それからというもの、何度心の中で呪文を唱えてもあの美しい国に繋がることは出来なかった。
お終い
※この物語はフィクションです。

