ショートショート:自作小説第十三作目書きました。題名:夢の中の犬

夢の中の犬

僕は夢の中の犬だ。

どうしても人間に忠告をしたい時に現れるようにしていている。

どうやったら僕が現れるかって?

簡単だよ、でも狙い通りに現れるかは結構難しい時もある。

初めにも言ったけど、警告夢だからね。

あ、もう呼ばれてるみたい。どういう風な警告をしてるか見てみたいなら付いてきて

続き:夢の中で何してる?

今日は男の子の夢の中に出てみるよ。男の子の名前は遊馬君だよ。

この子の両親は勉強やサッカーに真剣に取り組んで欲しいみたい。

けど、男の子は三年寝太郎みたいにダラダラと過ごす日々らしい。

見兼ねているのは両親だけじゃない。ご先祖も見兼ねているようなので僕の出番になった。

「遊馬君、遊馬君、僕が分かるかい?」

「犬が喋った!人間の言葉が話せるんだ、凄いや」

遊馬君は小学二年生ぐらいの見た目で、髪の毛がツンツン立ってる少し長めのミディアムヘアの男の子だった。

「遊馬君、ずっとダラダラと生活してるけど、何か理由があるの?」

「え?そんなにダラダラしてるかな?僕はこれでも気を張って生きているんだ。何かの間違いだよ」

「どんなことに気を張ってるの?」

優しく的確な返事が貰えるように聞いてみた。

「学校から帰ったらいつも疲れが溢れるからきっとそうだと思う」

余り的確な返事は帰ってこなかった。次の質問に困っていると

「君の名前はなんて言うの?ふあふあした見た目で白い長めの毛並みが触っていて気持ちいいね」

遊馬君の言葉でハッとした。

「え、触れるの?これは危険だ!僕を触れたらもうすぐ不幸がやってくる予兆だからね」

「不幸!どんなことが起こるの?」

「とんでもないアクシデントだから、病気になったり事故にあったり気に病むことが起こったりする」

遊馬君は青ざめた。

「大事にならないように僕も力の限りサポートするよ」

「僕大丈夫かな……。」

遊馬君の不安げな様子を見たら言ってはいけなかったように感じた。

「そんなに心配しないで、ごめんよ僕のことを信じて」

そういって僕は遊馬君の夢から出て行った。

続き:遊馬君のご先祖様に呼ばれた

「遊馬には人生を楽しんでもらいたい。その為に犬である君を派遣した」

遊馬君のご先祖様である曾おじいちゃんに僕は呼ばれていた。

「不安にさせぬようにそっとアドバイスをお願いしたのに、あれはなんだ」

曾おじいちゃんは怖い顔で詰め寄ってきた。

「申し訳ありません、なんてことをしてしまったのでしょう。どんな罰もお受けします」

曾おじいちゃんは、少し考えたみたいで

「君を遊馬の愛犬として転生させる。生涯に渡って遊馬を支えろ」

「はい。承知致しました」

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これが僕が遊馬君の介助犬になった経緯だった。

お終い