ショートショート:自作小説第十二作目書きました。題名:リビングルーム

リビングルーム

俺は何をしてもうまくいかない。

昨日会社を退職した。うつ病の発症で退職を余儀なくされた。

今、家の姿鏡を前にして立っている。

目の下には隈ができて、顔色が薄暗いまるで泥を顔に塗ったみたいだった。

頬もこけているようにも見える。髪の毛も少し長く垂れている。

まるでゾンビのようでいて、30代前半で若いのに中年男性のように見える。

三か月も前から医者には止められていた。

「会社は早く退職した方がいいですよ。できるだけ早く」

そう言われていたのに最後の足掻きあがきで頑張ってしまった。今思うとさっさと辞めても良かったのかもしれない。

明日からはどうやって過ごせばいいのだろうか?

昨日会社から去る時、

「やっぱり辞めるならもっと早く辞めて貰ったら助かったのに」

出世街道まっしぐらの同期に言われた。

(あいつってこんなに薄情な奴だったんだ)

ボソッと思った。

続き:リビングルームで何をする?

俺は昼間なのにカーテンも明けないで、電気も付けず一人で胡坐あぐらを搔いていた。

俺は昼間に家にいることなんて無かったから家のリビングルームの広さに驚いていた。

(今日から暫くはのんびり過ごすのかー)

ずっと何時間もボーっとしていたい気分になった。

リビングルームを見ていると部屋が宇宙の中の様に思えてきた。

「このまま溶けて無くなりたい」

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胡坐を組み続けていたみたいで

「今、何時⁈」

俺はパッと置き時計を見た。

【18:50】

なんと、4時間以上も胡坐を掻いていた。

「ボーっとしたせいか、頭が軽くなっている」

俺は明日からでも仕事を復帰できそうだと思った。

「早速、履歴書を書こう」

そこそこ大きな声で張り切って声を出した。

俺はノートパソコンに向かって職務経歴書と履歴を書き始めた。

5時間後

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続き:勢いよく書き始めたら

履歴書を書き始めて5時間が経った。

頭はボーっとしていき、自分が何をしているのか、訳が分からない。

「うあー、うあー、一体どうなっているんだ!?」

俺は大きな声で叫んでいた。

ピーンポーン

ガチャ

「お兄ちゃん大丈夫!?」

俺はハッと

「何をしてるの!?お兄ちゃん、病院行こう」

俺は4つ下の妹に連れられ、通院中の精神科の病院に行った。

俺は病院のベッドで寝ていたらしい。

目を覚めると主治医が

「安静にとあれほど言ったじゃないですか!今日から入院してくださいね」

「えーーー」

「こんな時に履歴書書くなんてダメです」

俺は入院することになってしまった。

お終い