リビングルーム

俺は何をしてもうまくいかない。
昨日会社を退職した。うつ病の発症で退職を余儀なくされた。
今、家の姿鏡を前にして立っている。
目の下には隈ができて、顔色が薄暗いまるで泥を顔に塗ったみたいだった。
頬もこけているようにも見える。髪の毛も少し長く垂れている。
まるでゾンビのようでいて、30代前半で若いのに中年男性のように見える。
三か月も前から医者には止められていた。
「会社は早く退職した方がいいですよ。できるだけ早く」
そう言われていたのに最後の足掻きで頑張ってしまった。今思うとさっさと辞めても良かったのかもしれない。
明日からはどうやって過ごせばいいのだろうか?
昨日会社から去る時、
「やっぱり辞めるならもっと早く辞めて貰ったら助かったのに」
出世街道まっしぐらの同期に言われた。
(あいつってこんなに薄情な奴だったんだ)
ボソッと思った。
続き:リビングルームで何をする?
俺は昼間なのにカーテンも明けないで、電気も付けず一人で胡坐を搔いていた。
俺は昼間に家にいることなんて無かったから家のリビングルームの広さに驚いていた。
(今日から暫くはのんびり過ごすのかー)
ずっと何時間もボーっとしていたい気分になった。
リビングルームを見ていると部屋が宇宙の中の様に思えてきた。
「このまま溶けて無くなりたい」
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胡坐を組み続けていたみたいで
「今、何時⁈」
俺はパッと置き時計を見た。
【18:50】
なんと、4時間以上も胡坐を掻いていた。
「ボーっとしたせいか、頭が軽くなっている」
俺は明日からでも仕事を復帰できそうだと思った。
「早速、履歴書を書こう」
そこそこ大きな声で張り切って声を出した。
俺はノートパソコンに向かって職務経歴書と履歴を書き始めた。
5時間後
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続き:勢いよく書き始めたら
履歴書を書き始めて5時間が経った。
頭はボーっとしていき、自分が何をしているのか、訳が分からない。
「うあー、うあー、一体どうなっているんだ!?」
俺は大きな声で叫んでいた。
ピーンポーン
ガチャ
「お兄ちゃん大丈夫!?」
俺はハッと
「何をしてるの!?お兄ちゃん、病院行こう」
俺は4つ下の妹に連れられ、通院中の精神科の病院に行った。
俺は病院のベッドで寝ていたらしい。
目を覚めると主治医が
「安静にとあれほど言ったじゃないですか!今日から入院してくださいね」
「えーーー」
「こんな時に履歴書書くなんてダメです」
俺は入院することになってしまった。
お終い