ショートショート:自作小説第七作目書きました。題名:五秒先のメガネ

五秒先のメガネ

皆は五秒先だけ未来が見えるメガネがあったらどう思うだろう?

ある人は「五秒って短くね?」

ある子は「それでも夢があるよねぇ」

僕の伯母さんは「不思議なメガネ。青春だね」

言った。

僕はもう大人だしこんなのは『インチキ』だと思っていた。

でも、伯母さんがせっかくだからと付けるのを勧められた。

渋々一日だけという条件を付けて、装着することにした。

付けたとたん、ばぁっと映像が出てきた。

そこには一瞬だけ伯母さんの猫が映り出した。

とその時、猫が部屋の扉を開けて、こちらに入ってきた。

僕は驚いた。本当に数秒先の未来が見える。でもこれって活用できるんだろうか?

伯母さんが僕に訊ねてきた。

「これってどこに売ってたの?」

「夏祭りの帰り道に髭の生えた不潔な男に渡されたよ」

「え、不気味なメガネとの出会いね」

「え、あぁまあ」

伯母さんは、まだハリと艶があり、もうすぐ五十歳には見えない。

それということが少女ぽく、なんだか夢見る夢子ちゃんのようだ。

「っていうか、伯母さんこそ付けないの?」

「私は、甥っ子の反応を見るので充分楽しいからいいの」

「なんだよ。人を見世物みたいに」

「そんあことないもん、可愛い甥っ子を見守ってるだけだもん」

「可愛いって、もう二十二歳なんですけど」

「私の中では四歳のまま」

「なにそれ!じゃあね」

「あ、もう行くの?」

伯母さんに挨拶をしたら家を出て、自宅に帰ることにした。

続き:ふとメガネを付けてみると

僕は何を思ったのかもう一度、不思議なこのメガネを付けてみた。

すると、僕がひそかに好きな白井かなちゃんと男性が見えた。

慌ててメガネを外すと

「あ、白井さん!男の人と一緒だ」

僕は大きな独り言を言ってしまった。

すると聞こえたのか、白井さんは僕を睨みつけると直ぐに男性の方を見て

「人違いに声を掛けただけだと思うから、次行きましょう」

「旦那様はどこに行きたいですか?」

「楽しいところ行こう」

白井さんは男性とそそくさと行ってしまった。

(なにあれ、パパ活なのか)

白井さんは、普段からお洒落だと大学内でも高嶺の花だったが、あんなことしてたのか。

僕は失恋というより、呆れて物も言えない状態になった。

(明日、大学の友達に言いふらしてやろう)

僕はそれが僕の身にどんなことを引き起こすかその時は想像できてなかった。

続き:白井かなの秘密は瞬く間に

次の日、僕は初めに親友の悟朗に高嶺の花、白井の秘密を暴露した。

「なんだそれ、マジ?あんなにお高く留まってんのに」

「僕たち、よく騙してくれたな」

悟朗は早速言いふらすのを手伝ってくれた。

僕達は白井によく虫けら同等に扱われたので不満が溜まっていたのかもしれない。

大学が終わるころにはその話で学生は盛り上がっていた。

僕は悟朗と帰りが途中まで一緒だったので、今日の噂の広がり方に笑い合っていた。

あと、悟朗に不思議なメガネの話もした。

「五秒先の未来が見えるのー。おもしれーな」

「俺も掛けていい?」

「全然いいよ。大して重要なことは映らないけど」

悟朗がメガネを付けたとたん、

「あ、白井だ。なんか持ってる」

「え、なに?」

僕は悟朗に聞いた。

そのほんの数秒後、

「あんたら許さない」

凄い形相の白井がこちらに向かって歩いてくる。

「逃げろ」

悟朗の声と共に僕たちは逃げた。

しかし、

白井の持っていた包丁が悟朗の背中にあたり、悟朗は血まみれになった。

「お、おい、悟朗ー」

と言ってたら、白井は僕にも刃を向けて切りつけた。

「お、うぅ……」

体中を痛みが走った。その時メガネを掛けた。

真っ黒だった……。

僕は意識が遠のく中で、悟朗は助かってほしいと願った。

お終い