ショートショート:自作小説第六作目書きました。題名:折り紙

折り紙

この鶴の折り紙誰が折ったんだろう。

とても頭と尻尾が細くできている。

私は不器用だからこんなにきれいには折れない。

これを折った人に会ってみたいな。

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私は作者に会いに行くことにした。

作者を突き止める為に博物館に問い合わせをした。すると、なんと作者はメキシコに滞在の日本人だった。

「メキシコまで一人で行くことは怖いな。けど会いに行かないとな」

私は心が惹かれたことには納得いくまで会いに行ったり、し続けないと気が済まない性格だった。

早速飛行機のチケットを取ったり、パスポートを取得したり、海外旅行保険にも入り直した。

荷物も入念に準備する傍ら、折り鶴の作者に連絡を取った。

作者の名前は、大山明未おおやまあけみさんと言って海外青年協力隊を終えた後、メキシコで日本語教師をしているみたいだった。

私は仕事のこともあるので、5月のゴールデンウィークに会いに行くことにした。

メキシコは連休ではないから、明未さんとは日曜日に会うことにした。

一週間後、日本を出てメキシコに着いた。

「カラフルでおもちゃの箱みたいに可愛い作り、さすがグアナファト」

家々が重なりあって建てられているので、小さな町に沢山の宝石箱がみっちり置いているみたいな風景だった。それぐらいカラフルな家が集合して建てられていた。

「ここの町を一日満喫して、ゆっくり休むぞ」

続き:遂に作者と会う

次の日、グアナファトから移動して明未さんの家に向かった。

バスを使って、レオン市まで行った。2時間を超えての移動だったので疲れたが、明未さんに会って折り鶴の折り方を学びたかった。

それとなんで折り鶴を作成して発表したのかを聞きたかった。明未さんの思いを聞きたかった。

レオン市に着いた、なんと明未さんが迎えに来てくれていた。

明未さんは、茶色のミディアムヘアで小柄な体格だった。でも腕には筋肉がしっかりついていて大概の物は自分で持てそうな印象を抱いた。青色の花柄の洋服とぴっちりした赤茶色のスキニーパンツがおしゃれに見えた。明未さんは40代だったが、とても見た目が若く30歳に見えた。

「迎えに来てもらってありがとうございます。助かりました」

明未さんは、ニコッと微笑むと

「こちらこそはるばるメキシコまで来てもらってありがとう」

「今日はよろしくお願いします。これ日本からのお土産です」

「わぁ、海苔だ!食べたかったのよね、ありがとう。早速家に行きましょう」

私達は家までの道で、お喋りをした。

「急に日本の博物館から連絡が来るからびっくりしたわ。すごい行動力よ」

「ありがとうございます。心が凄く惹かれたもので、実際に会いたくなってしまいました」

「それでメキシコまで?いつもすぐ動いているの?ねぇ、何か国目になるの?」

「そうですね、後悔したくなくてつい動いてしまいます。これで5か国目になりますね」

「後悔したくないって若いのに良く分かってるのね。今までどんな国に何しに行ったの?」

「ドイツやイギリス、アメリカも行ったことがあります。一番印象的な出会いはインドネシアで現地のおばあちゃんとの出会いでした」

「どう印象的だったの?」

明未さんは、興味津々に訊ねてきた。

「学校で嫌なことがあった時に家族旅行でインドネシアに行きました。その時に現地のおばあちゃんに話を聞いて貰って、最後に『感動したり、激しく心に残ったものに会ったら作者に会いに行きなさい。そうしたら、生きる糧になるから』言われました。その時何の目的なく生きていてしんどかったので、救われました」

「だから私に会いに来てくれたのね。会いに来てくれてありがとう」

こんな会話をしていたら、明未さんの家に着いた。

続き:明未さんの折り鶴への思い

私に明未さんは紅茶を出してくれた。

「折り鶴を折ってみた理由は、平和への願いと世界の皆が分かり合ってほしいという思いを乗せて折ったの」

「そうなんですね。具体的なエピソードありますか?」

「青年協力隊時代によく喧嘩や揉め事で争う大人達を見ている子供たちをケアしていたんだけど」

「ケアをしていく内に皆が分かり合えたらこんな風に子供たちが傷付くことはないと思ったの」

「日本で海外移住者向けの作品展示を募集しているのを知って誰かに届いたらいいな、気づいてくれる人がいたら幸いだなとおもったの」

「そしたら、メキシコまで会いに来てくれた嬉しい。せっかくだから、折り方を伝授するわ」

「はい、それも目当てで来たんです」

私は、明未さんの素敵な願いを聞けた、この後の人生の糧にできそうな気がした。

帰国した私は、今までと同じように心が惹かれたものがあると作者に会いに行った。

その様子を、ブログで発信していくことにした。

それと共に平和と分かち合う大切さも発信していった。毎日がより一層充実した。

お終い